若い頃よく読んだ、五木寛之氏の講演に行ってきます!!

大学生の頃よく暇を持て余し小説を読んでいた時期がありました。

純文学を読むというより、開高健氏、五木寛之氏など当時はやっていた作家が書いたものを読んでいました。

 

学生時代、五木寛之氏の小説が心に沁みた

 

 

僕が大学生だったのはもう30年以上前ですが、大学の勉強にも興味が持てず(興味を持たなかったのが本当)、時折アルバイトをすることもあったが基本的には仕方なく教室にたまに行くほかは、ぶらぶらしているという中途半端な学生生活を送っていました。

 

 

そんな生ぬるい生活の中で、五木寛之氏の小説が僕の心に浸み込んできました。

 

ストーリーが面白いというのは勿論ですが、作家のコアから滲み出てくる何かに僕が共鳴したという気がします。

 

その何かとは恐らく、氏が終戦後に朝鮮半島から命からがら引き上げてきたという、あまりにも過酷な経験をされたことからくる、何かなのだと思います。

 

最初に読んだのが確か「さらばモスクワ愚連隊」だったと記憶しています。

 

 

 

長編小説は読むのが億劫と思い、分量が少なく、かつ、タイトルが面白そうという理由で買ったと思います。

 

かつてはジャズピアノの名プレイヤーで、今は音楽プロモーターとして活動している主人公はソ連へ日本のジャズバンドを紹介するためモスクワを訪れた。主人公とそこで知り合った、ちょっとはねっ返りのミーシャという若者との交流を縦軸に当時の緊張感のあるソ連社会を横軸に描いたストーリーでした。

 

当時でも既に初版からかなりの年数が過ぎていて映画化もされていたと思いますが、僕にとってはとても面白く、興奮しながら読んだ記憶があります。

 

丁度、大学入学という新たな環境に入り、今までとは全く違う人間と付き合うという興奮とこの五木氏の小説の主人公の生きざまが自分の中でシンクロしていたのだと思います。

 

当時、生まれて初めてアルバイトというものをして実社会に遭遇した僕は、世の中の目に映るものすべてが興味の対象であり、好奇心をもって接していた頃でした。

 

 

金沢で偶然、「五木寛之文庫」に出会う

 

 

五木寛之氏はもう86歳です。

 

僕が若いころの五木氏は黒のタートルネックにジャケットを着て、ちょっと苦味が効いた大人の男という印象でした。

 

 

数年前の夏に金沢に旅行に行ったとき、「金沢・五木寛之文庫」というのを歩いている最中に偶然見つけ、色々とゆかりの品を見ることが出来たのは幸運でした。

 

 

 

なにしろ、そんな五木氏の常設文庫があるなんて知らなかったものですから。

 

五木氏は、1966年金沢在住中に『さらばモスクワ愚連隊』でデビューして、作家としての第一歩を記しています。

 

文庫の中には、冬の曇り空の下、若い五木さんがスコップを手に、当時住んでいる家の庭の雪掻きをしている写真が飾ってあり、とても印象に残っています。

 

若い五木さんはやはり黒(白黒写真ですが、たぶん黒なのでは)のセーターを着ているのですが、その下の筋肉が存在を誇示しているのが分かります。

 

傍らには奥様がいて雪掻きの様子を見守っています。

 

お二人とも若く魅力的、とてもいい写真です。

 

文庫の中にはノートが置いてあり、訪問者が思いを書けるようになっていました。

 

そのノートの表紙には、このノートは五木氏に見てもらうことがあります、といった意味が書かれていました。

 

 

 

僕も若いころお世話になった一読者として、少しだけお礼を書かせて頂きました。

 

五木氏は、「さらばモスクワ愚連隊」を書いた翌年『蒼ざめた馬を見よ』で第56回直木賞を受賞。『青春の門』では、吉川英治文学賞を受賞するなどご活躍はご存知の通りです。

 

そんな敬愛する五木寛之氏の講演を来月、あるご縁で聞くことが出来ます。

 

五木寛之氏を生で見るのはもちろん初めてです!

 

僕にとって憧れのスーパースターなので、背筋をピーンと伸ばして聞きたいと思います。

 

 

■今日のつぶやき

 

今日の都心は雨模様。

 

冬の寒さも堪えます。

 

我が家のイエ猫レオンちゃんも、寒さが嫌みたいで私の書斎にやたらと入りたがります。

 

どうにか書斎に入り込むとデロンギヒーターの隣でお座りしたり、ゴロゴロと寝転んだり。