夏になると思い出すのは、試験後の京都の旅
自分の息子が京都のとある大学に進学したことをきっかけに、それまで全く身近に感じたことの無い古都を急に身近に感じるようになりました。
息子の進学を機に、京都にハマる
息子が大学に進学したのは2011年4月、あの東北大震災の翌月です。
大学の入学式会場は国際会議場でしたが、その出入り口付近には関西のローカルテレビ局のカメラが何台も押し寄せ、新入学生にインタビューを試みていました。
どういう訳か、息子が大阪のテレビ局にインタビューされることになり、それを見ていて不思議な感覚に陥ったのを覚えています。
本人のたっての願いであったのだが、千葉から京都の大学に入学する少数派であろう息子に対して、京都という場所に慣れていない覚束なさと、本人の努力に対する敬意が同時に胸に沸き上がってきたからである。
周りの新入学生を勧誘するサークルの学生と新入学生、その親、メディアで入学式会場あたりはごった返し、騒然としていた。
息子は順当であるならば、4年後の2015年3月には卒業となった訳ですが、軽音楽に明け暮れて就活のスタートダッシュにずっこけてしまい、+1年を経て2016年3月まで在学しました。
その間、何回京都を訪れたかはっきりと覚えてはいないが、1年で概ね2~3回程度かもしれません。
では、京都を訪れたときは必ず息子と会い、それまで話すことの出来なかった父と息子の腹を割った会話が交わされていたかというと、そういう訳でもありません。
京都に折角来たのだから、息子に会うかと電話をしても、サークルで忙しいことも多く、
また自分でも気恥ずかしい思いもあり、息子に会わずに比叡山や渡月橋、数多の寺社仏閣を拝むことに精を出していたのです。
京都は、街そのものがワンダーランド
関係者ならよくご存じのように税理士試験は8月の上旬、つまり日本が一番暑い時期に行われます。
会場に辿り着くまで汗だくだく、会場につけばクーラー直撃で寒くて鳥肌、ということもあり得ます。
試験を受けるだけでも大変なのに、環境にいかに対応するかも問われるのです。
そんな試験を終えて向かう先は京都が多かったのです。
なぜかというと、息子の進学で急に身近になった京都ですが、いざ行ってみると知らないことだらけであることに気づいたからです。
生粋の関東育ちの自分には、阪急、京阪、近鉄といった関西の民鉄が珍しく、また食べるものも食材、味付け、料理だけでなく、当然言葉も違う。
寺社仏閣も良く分かっていなかったですが、面白かったのは街歩き。
京都の街歩きで必須なのがを市営バスですが、乗り方がちょっと難しい。
といいますのも、バス停の近くにまたバス停があり向かう先が少し違うことがあります。
ですから繁華街、観光客が多い場所では複数のバス停があり行先によって乗るバスが異なること
になり、そのバスで目的地に行けない時は、途中でバスの乗り換えをする必要があります。
そんな訳で僕にとって京都は、ある意味、ワンダーランドであったのです。
目に浮かぶのは、四条大橋のたもとのドトールコーヒーから見た八坂神社
街歩きの疲れを取るべく休憩をしようとよく入ったのが、四条大橋の洛中側にあるドトールコーヒーだった。
このドトールコーヒーは、日本で一番古い現役エレベータ―を使っている「東華菜館」の隣にあり、店内の2階、3階からは四条大橋を歩く人がよく見えて、飽きることがなかった。
京都は関東の人にはピンとこないかもしれないが、学生の街である。
少し古くて恐縮だが、「平成13年度の調査では、学生数は約13万6000人(京都市総人口の約1割)にのぼり,学生数の人口比は全国の大都市で第1位です」(フィールド・ミュージアム京都HPより)
視線を上にあげると橋の向こうには歌舞伎の南座が見え、その直線の更に先には八坂神社の朱色の門が見える。
八坂神社の背後にはうっそうとした森を見ることが出来、朱色と緑のコントラストを見るたびに「あぁ、京都に来たな」と思え、税理士試験が終わったことを実感した。
■ 追 記
数年前、NHKで京都の学生特集をしていた。
鴨川で仲間とたむろしている男子学生の一人が、「年を取って若いころを思い出すとき、京都での学生生活は、間違いなく自分の宝だと振り返ると思う」と語っていた。
この学生のことが、本当に羨ましく感じた。