税理士事務所の事業承継とAIと。
今年の夏ごろ、ある会計事務所向けコンサルをされている方と話しをする機会がありました。
現在の税理士法人制度の成り立ちと税理士事務所の事業承継対策との関係性など色々と話を聞かせて頂きました。
どうして税理士事務所の事業承継がスムースに行かなくなったのか
その理由の一つには税理士試験制度の改正があります。
(大学院を修了+国税庁の論文審査にパス)×2をすれば税理士資格が取得出来るという所謂ダブルマスター制度の廃止。
これにより、税理士事務所所長の子弟が税理士資格を取得できないケースが多くなったこと。
二つ目は、国税出身者への顧問先のあっせんの禁止があげられます。
これにより、税務署に勤務していた職員が退職後、税理士として開業する件数が激減したというものです。
3つ目は、人手不足で職員の確保がままならず、事業を継続すること自体が困難になってきたこと。
今後の会計事務所の方向性は
ご存知のように記帳代行でそれなりの金額を受領できた時代はもう終わっています。
クラウド会計の普及に伴い、自計化はより一般的になってきており、大手税理士法人における税理士の仕事は会計・税務から経営に関しての相談、コンサル業務に移ってきています。
それでも当事務所のように小規模企業を対象としているところは、従前の税理士業としての需要に応えバックオフィス業務に頑張っているようです。
コンサルできない税理士は将来的には⤵ではないか、との説明でしたが、それにはまだ時間が残されているように感じます。
また、大手税理士法人の税理士は、税理士として独立していかない勤務税理士志向が強い税理士もいて、税理士のサラリーマン化が進んでいるように見えます。
まぁそれでも他業種に比べれば、独立志向が強いとは思いますが、以前よりその傾向が弱くなったということでしょう。
また、事務所規模でいうと、従業員1~2名の個人事務所は従来通り生き残っていくのではないかと、思っています。
売上は家業レベルで推移すればよく、それ程多くの売り上げを必要としてはおらず、そのレベルは維持可能なのではないか、と考えるからです。
AIの進展と税理士業
良く昨今言われているのが、AIの進展に伴い税理士の仕事がなくなるということ。
自分が税理士事務所を経営しているから言うわけではありませんが、これは無いと思います。
税理士の仕事が無くなるというのをどういう意味で使っているかは分かりませんが、文字通りの意味だとすれば、その実現は99%無いといって過言ではないでしょう。
なぜなら、税務調査があるからです。
AIは機械ですから当然、税務調査までも代行してはくれません。
税務署の職員が来社して調査することに対応するのは、税理士しかいないからです。
(もちろん、税理士に依頼しなくても税務調査を受けることは可能です。代理人に依頼するのであれば税理士になるという意味です。)
税務調査の国税のカウンターパートである税理士も、税務調査に今よりも多くの時間を割くようになるのではないかと思っています。
【今日のつぶやき】
最近の夜の寒さの進行にふとんの準備が追い付いていません。
ついつい面倒くさがって、掛けているのはタオルケット3枚。
ふんわりした布団がもう一枚必要なのですが、さて、どこにあるものか?
それに合わせて、夏服から冬服への交代もしなくては・・・・・。
秋を飛び越えているような・・・・。