消費税の届け出は,「選択」の2文字に注意が必要。
昨日は、消費税の納税はいつから発生するのかについて書きましたが、今日は消費税の届け出について書いてみます。
消費税の届け出は10種類以上ありますが、その中でも代表的なものは、次のとおりです。
1.消費税課税事業者届出書
基準期間(特定期間)の課税売上高が1,000万円超となったとき、速やかに提出。
2.消費税の納税義務者でなくなった旨の届出書
基準期間の課税売上高が1,000万円以下となったとき、速やかに提出。
3.消費税簡易課税制度選択届出書
簡易課税制度を選択しようとする場合に、適用を受けたい課税期間の初日の前日までに
提出。(基準期間の売上が5,000万円以下の場合に選択可能)
4.消費税簡易課税制度選択不適用届出書
簡易課税制度の選択を止めたい場合に、適用を止めたい課税期間の初日の前日までに提
出。
5.消費税課税事業者選択届出書
免税事業者が課税事業者になることを選択する場合に、適用を受けたい課税期間の初日
の前日までに提出。
6.消費税課税事業者選択不適用届出書
課税事業者を選択していたが、免税事業者に戻ろうとする場合に、選択を止めた
い課税期間の初日の前日までに提出。
①については、昨日の記事に書きましたが、課税売上が1,000万円を超えたときに出すものです。
②については、①の逆バージョンで課税売上が1,000万円以下になったときに提出することで、消費税の納税義務から解放されるものです。
ここまでは、売り上げという客観的事実で決まってしまうのである意味、意思は介在せず悩むことはありません。
問題は③以降となります。
消費税は預かった消費税から支払った消費税を差し引き、納税額を計算するのが原則ですが、計算を簡略化して納税者の負担軽減を図る意味合いで、簡易的な計算も認めています。
それが簡易課税です。
納税額が簡易課税であっても原則課税であっても同額であれば(実際そういうことはないのですが)、届出書をうっかり出し忘れても、問題はないのですが、納税額が、「 原則課税 > 簡易課税 」と見込まれるときに、「消費税簡易課税制度選択届出書」を出し忘れると痛いのです。
(簡易課税の計算方法については、話が長くなるのでここでは触れません)
なぜなら、簡易課税の選択届出を提出していれば、消費税の負担が軽くなったからです。
また、⑤消費税課税事業者選択届出書も同様に、適用を受けたい課税期間の初日の前日までに提出しないと、痛い目にあいます。
この届け出は「免税事業者」が、「自ら課税事業者になります」と意思表明するものですので、提出を忘れると戻ってくるはずだった消費税の還付金が受け取れなくなってしまうのです。
この消費税課税事業者選択届出書は、本来は免税事業者であったのですが経費に伴う消費税の支払いが受け取った消費税よりも多額になると見込まれる場合、還付金を受け取ることを目的に提出するわけです。
消費税の届出書は、名称が似ているものが多いですが、上記の通り「選択」
という文字があるものは、届け出の〆切に注意が必要なのです。
いずれにしましても、消費税はクライアント・税理士間でトラブルが多い税目です。
多額の投資をする場合には事前に税理士に相談し、消費税の届け出がどうなっているか確認し、還付金の受け取りに支障がないか税務リスクの軽減を図る必要があります。
税理士とはコミュニケーションが大切といわれる理由がここにあるのです。
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”全てのよきことが次から次へと、あなたにやってきますように。”