減価償却費は魔法の科目
経理担当者でなくても減価償却という言葉を聞いたことがあると思います。
この減価償却とは、過去に購入した固定資産(車、建物、ソフトウェア、機械など)の帳簿価額を時間の経過とともに下げていく会計処理です。
どうしても使用していると時間の経過による劣化や性能が古くなり新しい製品との機能差が出てきて、価値が落ちてきます。
そうした事実を会計に反映させるために減価償却という会計処理が必要になるのです。
具体的な償却方法は、定額法、定率法などがありますが、ここでは分かりやすく定額法で機械を例にとり説明します。
・購入価格 1億円
・期初に納品と同時に使用開始
・耐用年数 10年
1年目から9年目まで、毎年1,000万円の減価償却費が計上されます。
10年目は9,999,999円が計上され、この段階で貸借対照表では、機械の価額は1円と表示されます。
これは、減価償却の計算が終了した以降も貸借対照表に載せておいて、その機械を実際に会社がまだ保有していることを示すためです。
従いまして、11年目以降の貸借対照表に、この機械は1円で表示されることになります。
ここまでは、よくある減価償却費の説明なのですが、ここから少し財務つまりキャッシュの話に移ります。
先ほど減価償却費は過去に支出して購入した固定資産を費用化していく手続きであると説明しましたが、購入した2年目以降は当然、おカネは出ていきません。
ここがポイントです。
つまり、2年目以降はおカネが出て行ってないのに、費用となって利益を下げていますが、同時に減価償却費分だけおカネが会社に留保されます。
それはどういうことか、具体的に下の例で説明いたします。
売上 1,000
諸費用 500
減価償却費 10
利益 490
でも、実際には利益490+減価償却10=500が会社にキャッシュとして残っている訳です。
製造業や不動産会社は、機械やビルをたくさん保有していますので、当然に減価償却費も多額になります。
こうした会社の最終利益に減価償却費をプラスすることで、会社の持っているキャッシュの実態に近づくことが出来るのです。
(実際には売掛金なども考慮しないとなりませんが、ここでは省略します)
減価償却費を利益計算(損益計算書)の観点から見るのも大切ですが、財務的なキャッシュの観点から見ると数字を見る目が鍛えられます。
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