税金を嫌いになり過ぎるとおカネからも嫌われてしまう
誰でも税金を少なくしたいと思うのは世の常です。
でも、税金を少なくすることに執着しすぎるとかえって自分が損をしてしまう(おカネから嫌われてしまう)ことになり兼ねません。
過度な節税意識は会社の財務を痛め、おカネが消えてなくなり資金繰りにも響いてしまうのです。
■節税の罠にご注意を
今回は、節税の罠、つまり節税を意識しすぎることで生じるキャッシュの毀損について書いてみたいと思います。
通常、会社が納税する法人税は、【利益 × 税率】で計算されます。この式の通り利益を少なくすれば税金は少なくなり、一見すると手元により多くのキャッシュが残るような錯覚に陥ります。
では、利益を少なくする(税金を少なくする)にはどうしたら良いかですが、売り上げが同じであれば、経費を多くすると利益が減ります(当然ですが)。
■節税に熱心??な会社は、本当にハッピーなのか
中小企業において最も関心が高いのは資金繰り、手元のキャッシュを厚くすることだと思います。
キャッシュが手元に潤沢にあれば現状のような厳しい状況にも焦らずに時間をかけて対応できるからです。
次に、通常の納税意識のある会社Aと過度な節税意識を持つ会社Bを比較して、過度な節税意識が会社のキャッシュの状況にどういった影響を与えるか確認して見ましょう。
【A社】 【B社】
①売上高 3,000 売上高 3,000
②経 費 2,000 経 費 3,000
③利 益 1,000 利 益 0
④税金(30%)300 税金(30%) 0
⑤当期利益 700 当期利益 0
両社とも売り上げは3,000ですが、経費の計上額が異なるので利益や税額、最終利益も異なってしまいます。
いわゆる節税を意識したB社は、経費をA社より1,000多く計上しており、結果として利益が0となり、必然的に税額も0、最終利益も0となっております。
税額だけを見るとB社は当初の目的?を達成して成功したように見えますが、それで良いのでしょうか。
会社の存在理由は利益を出して、存続し続ける(おカネを稼ぐ)ことです。つまり、上の比較で言うと⑤の最終利益が多いA社のほうが会社として成功しているといえます。
節税を意識しすぎるとそもそも①~④までで思考がストップしていることになるので、経営の王道から外れてしまうのです。
また、財務の健全性つまりキャッシュの潤沢さもA社は700であり、B社は0ですので、比較の対象になりません。
■そもそも、その経費は合法的なのか
また、税金を過度に意識するあまり、経費を多く計上することになったとしても、その経費が税法の範囲内に収まるものなのか、という問題があります。つまり、合法的に経費として認められるものなのか。
どういったものが経費として認められるのかは、業種、業態によって、また場合によって様々で一概に言えませんが、あれもこれもおカネを支出したのだから経費となるという訳ではありません。
経費とならないのであれば、税金は少なくならない、おカネが残らないで良いことはありませんよね。
■中小企業はキャッシュの確保が最優先―銀行とは仲良くしておきましょう
上場企業であれば株主の意向などで経営方針や業績が左右され、その結果、財務健全性(キャッシュの厚み)より、それらが優先されることもあるでしょう。
例えば、市場の占有率を高めるために多額の設備投資を行う、借り入れをしてそれら資金を賄うなどといった場合です。
ただ、そうはいっても上場企業であっても手元資金の確保は優先事項(最近でいえばトヨタ自動車の1兆円コミットメント融資)なのは間違いありません。
それに対して、中小企業(同族会社)は資金調達のために通常は新株発行などしませんので、資金調達の方法がほぼ銀行のみとなります。
現状のような厳しい状況も、バブル崩壊、銀行等の金融危機、ITバブル崩壊、リーマンショック、東日本大震災と10年を置かずして訪れています。
日頃より、資金繰りのセカンドプランを練っておきたいところです。
また、政府は現下の状況に鑑み、最大級の中小企業への資金繰り支援策(日本政策金融公庫など)を講じています。
個人事業主、中小企業経営者の方は、非常時ですので一人で悩まずに、「人に頼る」ことを意識して、この困難を潜り抜けて頂きたいと願っています。
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当務所は、 “ 個人事業主、小規模企業の良き伴走者 “ として、すべてのクライアントさまが成長することを支援していきます!!