宣伝用のTシャツを配り忘れたら、全部を経費にするのは難しい
会社では、様々なものを買い、ビジネスの展開を図りますが、必ずしもおカネを支出した会計期間にその全額が経費となる訳ではありません。
クルマを買った、建物を建てたといった固定資産の減価償却がその代表例ですが、それとは一味違うパターンを書いてみたいと思います。
例えば消耗品。
消耗品とは、資産性のないモノを指したりしますが、買ったときに費用処理して、つまり経費にして落とす処理が一般的です。
この場合、経費にしてしまうので会社の財産を示す貸借対象(BS)には載せないことになります。
例えば、ある会社が宣伝用にTシャツを作ったとします。
一枚1,000円のものを1000枚作ったとして、全部で100万円かかったとします。
経理担当者は、広告宣伝費か消耗品勘定で会計処理し、その期で全額経費として計上して、完了と考えるかもしれません。
(借方)広告宣伝費1,000,000円 / (貸方)現預金1,000,000円
或いは、
(借方)消耗品費 1,000,000円 / (貸方)現預金1,000,000円
このTシャツをその会社が顧客などにすべて配布して、期末において手元にもうない状態であれば、上の処理で問題はありません。
もし、仮にTシャツの配布を忘れてしまい、期末において手元に200枚残っていたとします。
そうすると話が変わってきます。
何故なら、Tシャツの一部は手元に残っており、広告の役割を果たしていないからです。
その分については、経費性が無いということになります。
この場合、会社の手元に残っているTシャツ200枚分、20万円を貯蔵品(BS項目)に振り替える処理が必要になります。
(借方)貯蔵品 200,000円 (貸方)広告宣伝費 200,000円
こうした決算処理によって、残ったTシャツはBSに記載され、実態に合わせた正しい処理が可能となります。
翌期の話をすれば、このTシャツをもれなく顧客に配布したときには、上の仕訳の反対の処理をします。
(借方)広告宣伝費 200,000円 (貯蔵品)200,000円
こうすることで、残った20万円分のTシャツは晴れて経費になる訳です。
ちなみにですが、このTシャツに配布した年、例えば2018と書かれていたら、翌年配布するわけにもいかないので、配り忘れて手元に残っても経費にしてもあまり問題ないように思います。
仮に一年前の西暦が書かれた真新しいTシャツに宣伝効果があるというのであれば、期末において、いったん貯蔵品にしても良いのですが・・・。
そんなTシャツなら、僕も欲しい!!
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