銀行融資を考える―「おカネが出来たので、融資を完済する」のはアリか

製造業のA社が不採算事業の工場を売却し、それで得た資金でZ銀行からの融資を完済したいと考えていました。

 

 

Z銀行からの融資を完済すれば、金利負担も減り、資金繰りもその分だけ楽になるからです。

 

 

A社はZ銀行のほかに地方銀行であるX銀行、Y銀行からも融資を受けています。融資額は各銀行とも同額と仮定します。

 

 

まず初めにA社が行うべきは、1年程度の資金繰表を作り、実際のおカネの流れを可視化することです。

 

 

まとめて完済することができたとしても、その後の資金繰りが目詰まりを起こしては、完済する意味が無くなってしまいます。

 

 

仮に1年程度の資金繰りが良好で、資金ショートの可能性がないと判断出来れば、まとめてZ銀行の融資を完済することもアリだと思います。

 

 

ただ、Z銀行へ融資残高を完済すると、その後A社とZ銀行の関係が無くなってしまい、新たに融資をZ銀行に申し込んだとしても、審査を通るかはその時次第となります。

 

 

 

融資は返すのは簡単ですが、受けるのは難しい面があるからです。

 

 

この場合、A社は融資完済後にもうZ銀行とは付き合うことはない、融資を申し込む必要はないというのであれば、Z銀行に融資を完済することに問題はないと思います。

 

 

ただ実際に企業経営では何が起こるかは分かりません。

 

 

リーマンショックのような金融恐慌一歩手前の突発的な事象が起きないとは言えないのです。

 

 

将来のリスクを軽減したいと考えるのならば、Z銀行への返済は一部分だけに抑えて、支払利息は保険料と割り切り、A社はZ銀行との関係を継続した方がリスク軽減になります。

 

 

自ら「期限の利益を喪失する」必要はないのかな、と思っています。

 

 

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